2009年 06月 18日
北朝鮮の核問題について
e0130549_11593439.jpgアンダー・ドッグに味方せよ」というバランス・オブ・パワーの原則からすれば、北朝鮮への制裁に中国やロシア、そして時に韓国が消極的に反応することは驚くに値しない。彼らにとってみれば北朝鮮が核保有国になることよりも、朝鮮半島にパワーの空白が生じる不安定の方が望ましくない。

かといってアメリカが本腰を入れて対応するには北朝鮮は地理的に遠い。1890年代に拡大を続けるアメリカにイギリスが宥和したのは、遠いアメリカよりも近いドイツを恐れたためで、文化的同一性のみによるのではない。脅威の大きさは近接性に影響される。アメリカにとって北朝鮮はキューバではない。

これら一連の事態はバランス・オブ・パワーの前提である《(1)国際政治の構造は無政府的国際システムである(2)国家は自らの独立を至高のものとみなす》という認識に基づく行動が各国独自に為されるもので、その判断の重さはいかなる理念や事情もこれを超えるものではないことを示す。

e0130549_1201329.jpgこのことは我国の場合も同じで、上記の前提に立った認識に基づいて独自に行動することは当然である。他国と連携して行動することで目的が達成されると判断するならば、そうするのもよい。しかしそれが当てにならないと判断するならば独自のパワーを問題の核心である北朝鮮に対して行使しなければならない。

パワーには誘引するソフトパワーと強制するハードパワーとがあるが、この場合ソフトパワーの行使は我国と北朝鮮に共通の価値基盤がなく、北朝鮮に失うべき国際信義も存在しないために効果がない。経済制裁も中国の重油支援のような決定的な依存関係が我国と北朝鮮の間に存在しないために効果が低い。

したがって手段としてはハードパワーの行使、つまり軍事力の行使が考えられる。そしてこの軍事力にはミサイル迎撃から敵地先制攻撃、核兵器の保有から使用に至るまで全ての選択肢が含まれる。この問題は我国の独立に直結している。〈平和国家〉や〈唯一の被爆国〉といった理念や事情はこれを超えるものではない。

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by hishikai | 2009-06-18 12:18 | 憲法・政治哲学


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