2011年 02月 12日
「ピアノdeシネマ」
今年の紀元節は荒天の一日であった。気象庁の予報したような積雪になるとは思われなかったが、それでも朝から身を斬るような冷たい風に吹付けられた霙混じりの雪が窓を打った。このような季節に建国の偉業を成し遂げた先人に、毎年のことながら畏敬の念を覚える。

私は夕方から「ピアノdeシネマ」という催事に出掛けた。サイレント映画をピアノの演奏と共に鑑賞しようというもので、演目は『肉體と悪魔』。1926年制作のアメリカ映画で、主演はジョン・ギルバート、助演女優はグレタ・ガルボ、上映時間は111分、当時としては一大長編映画である。

会場となったのは、大正時代に建てられ、昭和十年には東久邇宮盛厚親王の宿所にもなった渡辺氏所有の洋館である。私が到着したときには既に人々が集まっており、中にはいつもダンディな音楽史研究家の郡修彦先生や、十代のモダンガール若林さくら嬢の見知った顔もあった。

人々が上映室となる一室に案内される。灯りが落とされて上映が始まると、ピアノが刻一刻と移り変わる場面に合わせて演奏される。奏者は柳下美恵女史。女史の演奏は、時に楽しく、時に悲しく、絶妙の抑揚を以て作品を立体的に膨らませていく。技術はもとより非常なる集中力に感服する。

作品の舞台は第一次世界大戦前のドイツであろうか。グレタ・ガルボ演ずる魔性の美女が、二人の美男子を翻弄する愛憎劇である。明るい銀幕にグレタ・ガルボの美しさは際立っていた。ダンスパーティーの場面、彼女がアップになると客席は「おーっ」と感嘆の声を上げた。

映画が終わると戦前の服飾について講演があった。講師は淺井カヨ女史。日本モダンガール協會を主催する女史は、この世界では超の付く有名人である。お話はグレタ・ガルボの解説に始まり、1920年代の服飾の流行から1930年代の流行まで、大変に興味深いものであった。最後に蓄音機でリスト作曲『愛の夢』を聴いて散会した。

e0130549_18473981.jpg
写真 淺井カヨ女史と。淺井女史とお会いするのは二度目だが今回も緊張した。この時もカチンコチンである。

ブログランキング・にほんブログ村へ

by hishikai | 2011-02-12 19:22 | 文化


<< 近代の奔流      朝香宮邸 >>