2009年 03月 02日
今朝は宅急便に起こされた。朝も早くからご苦労さまと眠い眼を擦りながら受取った荷物を居間のテーブルに置き、時計を見ると針は十時を指している。そうか、早くないのか⋯。昨夜はウイスキーを飲みながら「タモリ倶楽部」を見て「ゴルゴ13」を見て「黒執事」を見て「鉄のラインバレル」を見た。 結局寝たのは明け方近くなのだからこんな寝坊も仕方がない。外は小雨が降っているようで、こんな日は決まって頭がぼんやりする。といっても今からまた寝るのは半端だし、さてどうしようかと考えた末に散歩をしようと思い立つ。傘をだらしなくさしてふらふらと歩き、やがて近所の方の経営する梅園に入る。 若い下草の緑を踏んで木々の間をあてもなく歩くと、幾百とも知れない梅の木が黒々とした枝を伸ばしている。見上げると白く小さな花々が鉛色の空に溶けるように咲いている。雨粒が落ちて顔にあたる。広い園内には私より他に誰もいないのか、ただメジロの声だけが聴こえている。 小道を挟んで向うに同じ方の経営するハーブ園があり、その中に小さな喫茶店がある。隅の席に座って大きな硝子窓の外に目をやると様々なハーブが植えられて、小さな噴水ではひよどりが水浴びをしている。ローズティーとホワイトチョコレートケーキを突つきながら持ってきた本を開くと、こう書いてある。 彼は社会公共の利益を増進しようと思っているわけではないし、またそのことを知っているわけでもない。ただ生産物が最大の価値を持つように経営するのは、自分自身の利益のためなのである。だが、こうすることによって、彼は見えざる手に導かれ、自分では意図していなかった目的を促進することになる。 彼がこの目的を意図していなかったことは、必ずしも悪いことではない。社会の利益を増進しようと思い込んでいる場合よりも、自分自身の利益を追求する方が社会の利益を増進することがある。社会のためにやるのだと商売をしている徒輩が、社会の利益を増進したという話は聞いたことがない。(諸国民の富/A・スミス)
by hishikai
| 2009-03-02 02:43
| 日常
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