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    <title>風餐記</title>
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    <tagline>風餐記（ふうさんき）</tagline>
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        <title>『赤色エレジー』</title>
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        <dc:subject>文化</dc:subject>
        <content type="html"> 
本棚に一冊のフォークソング譜面集がある。中学生のとき、ギターに夢中だった私に、叔父が呉れたもので、知らない曲ばかりだったが、何度も繰返して譜を読んでいるうちに、とうとうページがばらばらになってしまった。

中でも好きだったのは、あがた森魚さんの『赤色エレジー』で、本物を聴いたことがないので想像で弾き、そのたびに陶然としていたが、それでもいつか本物を聴きたいと思いながらも、叶うことなく、そのまま・・・
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        <title>奥州</title>
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        <dc:subject>文学</dc:subject>
        <content type="html"> 
奥州は白河の関より入る。古来より、黄金と名馬を朝廷に献じたが、都の人々にとっては、それよりも、伝説と歌枕とによって、内側からぼんやりと照らし出されるように知られた、遠く謎の多い土地であった。

平安朝も中ごろ、摂津の国は古曽部という村に、能因法師という歌人があった。かねてより奥州に憧れ、わが杖ひく姿を夢想していたが、遠い辺地に漂白する勇気なく、ただ夢想に明け暮れ日々を送っていたところ、ふと夢想・・・
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        <title>『太平洋の奇跡』を観て</title>
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        <dc:subject>大東亜戦争</dc:subject>
        <content type="html"> 
私は谷崎潤一郎の『細雪』を読みながら、映画『太平洋の奇跡』の上映を待った。『細雪』の日本人は友禅を纏い嵐山に花見をし、神戸港に洋行の客船を見送り、オリエンタルホテルで見合いをし、歌舞伎座で六代目菊五郎に陶然とし、銀座のローマイヤーで食事をする。

そして『太平洋の奇跡』を観て、そこに展開される光景、バンザイ突撃、洞窟での自決、汗じみた白いブラウスにモンペ、山中を彷徨う人々、焼けたトタン板、収容・・・
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        <title>平等に就いて</title>
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        <dc:subject>憲法・政治哲学</dc:subject>
        <content type="html"> 
路地は（中略）今も昔と變りなく細民の棲息する處、日の當つた表通からは見る事の出来ない種々なる生活が潜みかくれてゐる。侘住居の果敢なさもある。隠棲の平和もある。失敗と挫折と窮迫との最終の報酬なる怠惰と無責任との楽境もある。（永井荷風／『日和下駄』）

平等こそ最善最美の道徳であると信じられている今日の我国にあって永井荷風のような言論は到底許されるものではないが、それにしても私たち日本人が平等とい・・・
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        <title>獄中所感</title>
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        <dc:subject>昭和維新</dc:subject>
        <content type="html"> 
私は二二六事件を殊更に美化しようとは思わないけれども、だからと云って、殊更に醜く考えようとも思わない。只、七十五年を経た今日でも、この季節になると事件が人々の口吻に上るのを見て、日本人の感情に触れる何かが、そこに潜んでいることを思う。

獄中所感

吾れ誤てり、噫、我れ誤てり。
　自分の愚な為め是れが御忠義だと一途に思ひ込んで、家の事や母の事、弟達の事、気にかかりつつも涙を呑んで飛び込ん・・・
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        <title>上水道と下水道</title>
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        <dc:subject>憲法・政治哲学</dc:subject>
        <content type="html"> 
去年の『憂国忌』で印象深い話があった。──もっとも以下は、私の曖昧な記憶に基づいていることを最初に弁明して置く──それは登壇された井尻千男氏と遠藤浩一氏の、次のやり取りの中でのこと。

井尻氏曰く、ある座談会で三島由紀夫は福田恆存に「あなたは西洋と暗渠で繋がっている」と云った、そこから三島由紀夫は真性保守、福田恆存は近代保守である、両者は戦後の二つの保守思想を代表しているが、この対立は今日も続・・・
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        <title>近代の奔流</title>
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        <dc:subject>文化</dc:subject>
        <content type="html"> 
日本人が自国に流入した「近代」の奔流をどのように経験したかというイメージを探していたところ、谷崎潤一郎の『細雪』にあった。ただし、この「近代」の正体について、私の浅学の及ばぬところであろうし、ここでは触れない。その文章を引用する。

只今、と云いながら十になる息子の弘が息を切らして這入って来た。おや、学校はどうしたの、と云うと、今日は一時間で授業がお休みになったんだよ、水が出ると帰り路が危険に・・・
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        <title>「ピアノdeシネマ」</title>
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        <dc:subject>文化</dc:subject>
        <content type="html"> 
今年の紀元節は荒天の一日であった。気象庁の予報したような積雪になるとは思われなかったが、それでも朝から身を斬るような冷たい風に吹付けられた霙混じりの雪が窓を打った。このような季節に建国の偉業を成し遂げた先人に、毎年のことながら畏敬の念を覚える。

私は夕方から「ピアノdeシネマ」という催事に出掛けた。サイレント映画をピアノの演奏と共に鑑賞しようというもので、演目は『肉體と悪魔』。1926年制作・・・
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        <title>朝香宮邸</title>
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        <dc:subject>文化</dc:subject>
        <content type="html"> 
私は、古い建物を訪れて、そこに暮した人々の気配が微かに空気を揺らして昔日の思い出を繰返し演じながら、しかもそれが真昼の花園のように楽しげであるとき、つくづく建築物とは夢の器であることを思う。そして朝香宮邸を訪れるとき、尚一層その感慨を確かにする。

物語は1923年（大正十二）4月1日に始まる。「エイプリルフールの冗談でしょ！」渡欧中の朝香宮鳩彦王が交通事故で重傷を負ったとの知らせを受け、そう・・・
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        <title>歳晩の憂鬱</title>
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        <dc:subject>日常</dc:subject>
        <content type="html"> 
私は部屋に一人で籠っている。何故と云って歳晩が憂鬱なのだ。街の賑わい、人々の浮いた気分、大売り出しの仰々しさ、みんな一緒の年越し蕎麦、みんな一緒の除夜の鐘。この何もかも大波にさらわれるような気分が滅入るのだ。

浮ついた世間の様子は見るに耐えず、聴くに耐えず、だからテレビもつけず、ラジオもつけず、外界の一切を遮断してじっとしている。その姿を人が見るならば、あたかも嵐が過ぎ去るのを待つ巣穴の中の・・・
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        <title>ボー・ブランメル</title>
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        <dc:subject>文化</dc:subject>
        <content type="html"> 
地下鉄に乗って膝の前に蝙蝠を突いて座っていると、ふいに「ブランメルみたいですね」と隣の女性が云う。女性は髪の長い、色白の人で、唇を固く結び、潤いのある大きな眼でじっと私を見つめている。手には読みかけの本を開いている。

ブランメルとは誰ですかと尋ねると、英国を代表する紳士ですと云う。少し考えて思いあたらないので、私が、存じ上げなくて申し訳ありませんと答えると、女性は、いいえ、私こそ無遠慮に見つ・・・
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        <title>十一月二十五日</title>
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        <dc:subject>昭和維新</dc:subject>
        <content type="html"> 
昭和四十五年十一月二十五日午後零時十分。演説を終えた三島由起夫はバルコニーから総監室に戻ると、手足を縛られたままの益田総監に向かって「恨みはありません。自衛隊を天皇陛下にお返しするためです」と言う。

制服のボタンをはずしながら「仕方がなかったんだ」そう呟くと、三島は上半身を裸になり、縛られている総監から約三メートルの床の上にバルコニーの方を向いて正座し、短刀を持つ。森田必勝が左後に立ち、長刀・・・
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        <title>新内流し</title>
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        <dc:subject>文化</dc:subject>
        <content type="html"> 
ある夜更け、私は、新内流しの写真が古い雑誌に載っているのを眺めている。「下町の芸に生きる。江戸の残照」という大きな活字は、今にも勇躍して眼を射るのであるが、写真の方は、どうにも取り返しのつかないほど遠い昔の姿に見える。

新内流しは唐桟縞の着物に、松葉尽しか何かの手拭を吉原冠りにして、角帯に三味線を吊り、自らこれを弾きながら、後ろに高音を奏でる上調子を相方に連れ、秋虫の鳴くような音曲と共に市中・・・
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        <title>倫理と国際政治についての譬え話</title>
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        <dc:subject>憲法・政治哲学</dc:subject>
        <content type="html"> 
ここである貧しい村に迷い込んだとしてみよう。

そこでは、今まさに軍人が３人の村人を壁の前に並ばせ処刑しようとしていた。あなたが「なぜ彼らを銃殺しようというのだ。悪人には見えないじゃないか」と聞くと、軍人は「昨晩この村の何者かが、私の部下の１人を殺したのだ。村の誰かが犯人であることはわかっている。だからこの３人を見せしめに銃殺するだけだ」と言うのであった。

あなたならこう答えないだろうか・・・
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        <title>おちゃめの文例</title>
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        <dc:subject>文化</dc:subject>
        <content type="html"> 
「おちゃめ」という言葉を久しぶりに聞いた。大辞林には「ちゃめ【茶目】無邪気な子供っぽいいたずらをすること」とある。また時に「おちゃめ」に接尾語を足し「おちゃめさん」と言うこともある。

とはいえ、あまりに久し振りだったので「おちゃめ」が言葉の中でどのように使われていたかを思い出せず、そこから何かそうした文章はないものかと考え、ようやく一つ本棚から見つけ出した。以下に書く。

御免して頂戴・・・
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