2009年 01月 25日 ( 1 )

2009年 01月 25日
mishima
e0130549_9245945.jpg友人が映画の入ったDVDを一枚呉れた。ケースに「mishima」とある。説明は全て英文で、a film by Paul Schrader、starring Ken Ogataの文字が見える。1985年制作であるらしい。ケースのデザインは黒が基調で、ざっと謂えば、ゲイシャ、フジヤマ、トーキョーローズといった気分。

早速、帰宅して鑑賞。三島由紀夫の伝記映画だった。色々と言えば、色々とあるかも知れないが、総じて巧く出来ている。映画『憂国』のロケ風景、『学生とのティーチ・イン』など、アングルから小道具に至るまで、実に良く調べ、実に良く再現している。

あるいは、紅燈万点とする歌舞伎座のロビーに、着物姿の人々が往き交う。制服に身を包んだ盾の会が、国立劇場の屋上を行進する。白いコロナが日本の街並を、首都高速を疾駆する。これらは出来得る限り、実際の場所を使用した撮影となっている。少なくも、私にはそう見える。三島邸も本物ではあるまいか。

また、自衛隊市ヶ谷駐屯地での総監拘束から演説への過程、その中にある自衛隊との構図も理解しやすい。一号館バルコニーの上から天皇陛下万歳を奉唱する三島由紀夫と森田必勝。下から野次る自衛隊諸官。あの光景が旧軍と自衛隊の、戦前と戦後の、怨念と諦念の、過去と現在の対決であることが判る。

演技者は『金閣寺』の主人公を演じた坂東八十助が秀逸。黒い学生服の足許をゲートルで編み、坊主頭に学帽を冠っている。吃るために、首を傾げ、身を捩って、言葉を発しようとする。それが不思議に美しい。昔、マヤの貴族が帽子の目の前の片方に錘を吊るし、自らを斜視にした、その美しさを想い起す。

少し難点も言わねばならない。主演の緒方拳は、三島由紀夫に較べて四肢が短く、歩き方も農民式で悠々としない。だから彼は三島由紀夫の「仮面」ではなく、その内面を演じなければならないし、事実そうしている。だがそれでは、三島由紀夫自身が、実のところ「仮面」であったことは伝わらないと思う。

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by hishikai | 2009-01-25 09:28 | 文化