2009年 01月 29日 ( 1 )

2009年 01月 29日
e0130549_017517.jpgこんな夢を見た。夜、私は家の階段を降りている。辺りは青暗く、ぼんやりとした光で満ちている。その見えるか見えないかの暗さの中を、私は一段一段、足許に気遣いながら降りている。やがて階段の下に廊下が見える。正面は突き当りになって、右に便所があり、廊下は左へと続いている。

私はようやく階段を降り切ると、左にゆっくりと向きなおる。廊下が真直ぐに延びて、両側に部屋がある。手前から右側に風呂、その次が台所。左側に茶の間、その次が洋間になっている。全てがぴったりと戸を閉切って、時が止まったように佇んでいる。微かに私の左手、茶の間の障子が青暗い光に白んでいる。

廊下を眼で追っていくと、正面に玄関があり、扉に摺硝子が嵌込んである。そこがまた一層青暗く、あたかも空気それ自体が発光しているように、ぼんやりと光っている。私は不思議に思い、玄関をじっと見詰めている。玄関にも廊下にも、青暗い光は僅かな発光の差を呈しながら一面に満ちている。物音一つしない。

突然、私の左手にある茶の間の障子がすっと開いて女が出てくる。年は十六か十七か。髪をおかっぱに切り揃え、戦時中のもんぺ姿をしている。子供を布に巻いて抱いている。子供は布から顔だけを出して、眠ったように目を瞑っている。子供の顔の横には、女の左胸に縫付けられた白い名札が見える。

女は私の前に立つと、伏し目がちに下を向いたまま、子供の顔をじっと見ている。女の顔も、子供の顔も、青白い。親子か、姉弟か、判らない。どのぐらいの間、そうして居ただろう。やがて女は背を向け、廊下を滑るように玄関の方へ行くと、そこで一面の青暗い光に溶込むように姿を消した。

私は立ちすくんでいた。そして女が背を向けて遠ざかっていくときに、その周囲を真黒で細かい、闇の破片とでも言うべきものが、無数に取り囲んでいたことと、女が出てきた茶の間の障子の、すぐ近いところに、明治天皇と昭憲皇后様の御真影が奉ってあったことを、心の中で、なぜか頻りに気にしていた。

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by hishikai | 2009-01-29 00:22 | 日常