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2009年 10月 09日
共通の教科書で思い出される論文
10月8日の聯合ニュースによれば、岡田外相が韓日中での共通の教科書作成を検討すべきとの考えを示したことについて韓国大統領府が前向きな反応を示したという。これを聞いて私は2002年から2005年の日韓歴史共同研究の際に韓国側から提出された論文の一つを思い出す。以下に引用する。

《1937年7月、中日戦争を挑発する中で本格的に着手した皇国臣民化運動は、全体主義的動員の方式で韓国人に皇国臣民となることを強制した点で、以前の同化政策とは違いがある。内鮮一体を主張した南次郎総督は、内鮮一体とは「半島人を忠良なる皇国臣民に作り上げること」と述べたが、社会であれ学校であれ、総力戦で名実共に完全な皇国臣民化を目論み、韓国人のアイデンティティーを解体させ、日本人のように天皇に絶対服従する人間型を鋳造するためであった。皇国臣民化運動は天皇制ファシズムに順応する人間製造運動で、ヒトラーのナチズムやムッソリーニのファシズムにも似た非人間的、非文明的運動であった。このような運動が全体主義的動員方式で展開されたのは、韓国人の民族意識、独立意識を抹殺させ、中国などのアジア諸国を侵略して第2次世界大戦を遂行する上で人的、物質的兵站基地としての使命を果たすためのものであった。こうして韓国人の人権は踏みにじられ、韓国人の人間意識は非常な危機を迎えた。》(徐仲錫/『日帝の朝鮮強占と韓国の独立運動』)

この論文にあるのは歴史ではなく政治である。その事はとりもなおさず彼らにとって歴史とは政治であり、歴史教育とは政治教育であることを意味している。そして彼らの体制が政治教育に立脚している以上、彼らにとって共通の歴史教科書とは日本人が屈服することで成立する歴史教科書以外の何ものでもない。また中央日報は以下のように伝える。

《教育科学技術部のイ・ソンヒ学校自律化推進官は(共通の教科書が)「原則的に望ましい提案」としながらも、「2002年5月に発足した韓国・日本歴史共同研究委員会は、偏った見解を持つ日本側委員の拒否のため争点をめぐる本格的な議論が低調であるだけに、慎重に接近して双方が合意できる案を用意しなければならない」と述べた。》

私たちの常識からすれば共同の研究会でヒトラーやムッソリーニを持ち出して相手を論ずる方がよほど偏っているように思えるが、実のところ歴史は政治であるという彼らの原則に難色を示した当時の日本側委員の態度を「偏った見解」と表現することで、今後も歴史の客観視を拒否することを宣言している。我国でも輿石東民主党代表代行の「教育の政治的中立はありえない」という発言が彼らと同じ認識に立っている。

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by hishikai | 2009-10-09 01:53 | 日常


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